借家(アパ-ト)と相続

家を借りる場合の契約に、ただで借りる「使用貸借契約」と家賃などを支払う「賃貸借契約」とがあります。使用貸借の場合は貸主と借主と強い信頼関係があるため、借主の死亡により家族、同居人は直ちにアパ-トなどを出なければなりません。

使用貸借契約は契約書を交わされることがほとんどなく、従って誰が借主か分からない場合も多く、世帯主の死亡が立ち退き原因となりやすくなります。これを防ぐには成人の家族、同居人(貸主と懇意な場合)を借主とする、借りる期間と期間の自動更新の規定を入れた契約書を作成しておいた方が良いと思われます。 

 

一方、賃貸契約は、原則、家賃などを支払っている限り、相続人である妻や子供は貸主の承諾(承諾料も)を得ることなくそのまま住み続けられます。

 

また賃借人が「相続人(妻、子供、両親、兄弟など)なしに死亡した場合、賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者は、賃借人の死亡時から1ヶ月以内に退出を申し出ない限り、家主の承諾なしに住み続けられます。なお敷金などは返してもらえる代わり、滞納家賃などがあれば払わなければなりません。(借地借家法)

 

事実上の夫婦、養子など以外の人については、相続の対象となる借家権がありませんので、原則として貸主の承諾(新規契約)が必要です。承諾が得られない場合は退去しなければならず、相続人も退去に協力する義務も発生し、非相続人が退去しない場合は契約違反を理由として賃貸契約が解除される場合もあると思われます。

 この記事または相続、遺言書、土地のごそうだなはお気軽に


遺言がない場合は、相続人間で分割方法を協議(協議分割)することになります。

法律で定められている法定相続分は遺言がない場合の遺産分割の目安であり、遺族間で遺産分割を協議し、協議が調わない場合の調停、審判での判断基準、遺留分(妻、子供、両親などの生活維持のため保証されている取り分)算定の基準でしかありません。

そして遺言がない場合相続人間の協議が紛糾し、いわゆる「争族」が発生します。家庭裁判所に持ち込まれる調停分割の申し立ては近年増加の一途をたどっています。家庭裁判所が取り扱う遺産分割についての、調停・審判事件は1949年(昭和24年)が1104件であったものが、2010年(平成20年)には13,597件と10倍以上になっています。

また公正証書遺言を行なった人は、1989年(平成元年)では40,925件でしたが、2010年(平成20年)では81、、84件と倍増しています。

 

うちに限って、或いは兄弟仲が良いから争いにならないと思うのは単なる願望であり、思い込みでしかありません

 

  相続に関する本を見ると、遺産争いを防ぐためには遺言が最も有効と教えています。しかし遺言の内容が不明確だとかえって争いのもとを作りかねないものです。何しろ書いた本人はすでにこの世の人ではないわけですから、真意の程は確認のしようがないわけです。「スム-ズな遺言の実行」の為に何に注意すべきか考えてみたいと思います。

          以下はe−六法 民法(徑草書房) なくて困る遺言る遺言(キンザイ) 月刊ファイナンシャルプラ  ンナ−(キンザイ) などを参考にしました

 

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遺言をすれば何でもできるのでしょうか

遺言をしても、法律上効果のあるもの(裁判所に訴えて、裁判をしてもらえるもの)と法律上効果のないものがあります。たとえば自分の死後、兄弟仲良くとか、お母さんを大切に)などは法律上の効果はありません。従ってその遺言内容の実現を裁判所に求めても裁判をしてもらえません。(法律上、無効となります)

とはいえ、人は一人で生きられず、とりわけ家族から有形、無形のの支援を受けて人生を過ごし切れたのですから、感謝の言葉を一言添えれば、無味乾燥な遺言も潤いのあるものとなり、スム−ズな遺言の実行にも役立つと思われます。

 

また遺産分割について、何故そうした遺言をしたのか。たとえば長女の結婚式に多額の費用がかかり、結婚後も生活費を補助したから、長女相続分(遺留分を除く)はないなど、遺言の背景を略述しておけば、遺言の解釈の助けになり、よりスム−ズな遺言執行が出来ることになると思われます。

 

欲を言えば、エンディングノ-トを作り(市販のものもあります)、自分の人生を思い返し、配偶者、子供との生活での印象に残ったこと、仕事への思い入れなどを残すことにより、今後の自分の人生への展望を開くとともに、遺言が希望通り実行されることに資すると思います。

 

せっかくの遺言も、相続人全員が、遺言と異なる分割に合意し、遺産分割協議書を作った時は、遺言は無効となり、実現されません。遺言者自身の遺志を実現したいのであれば、可能ならば、もう一歩踏み込み、相続人に遺言内容を明らかにし、了解を得ておくことで、究極のスム-ズな相続実現の決め手と言えると思います。

 

法律上効果のある遺言事項は次のものに限られています。これらの事項について、遺言に反する遺言執行が行われた場合、家庭裁判所に訴えて遺言内容の実現を求めることが出来ます。

(専門用語が入っていますが、一応目を通して下さい)

 

1.身分上の事項
・子の認知
・未成年者の後見人の指定
・後見監督人の指定

 

2.相続に関する事項
・推定相続人の廃除、排除の取消

  相続人の範囲は法定されており、指定はできません。配偶者、(祖)父母、兄弟以外の人に相続さ         せたい場合、包括遺贈により、遺産の一定割合を死後に渡すことができます。

・相続分の指定、及び指定の委託

・特別受益の持ち戻し(結婚費用、高等教育費用など多額の過去の援助を遺産に加えること) の免除

 

・遺産分割の方法の指定、及び指定の委託

・遺産分割の禁止(5年以内)

・遺産分割された財産について相続人同士で担保責任を負わせること

・遺贈の減殺の順序、及び割合の指定

 

3.遺産処分に関する事項

・遺贈

・財団法人設立のための寄附行為

・信託の指定

 

4.遺言執行に関する事項

・遺言執行者の指定、及び指定の委託

・遺言執行者の職務内容の指定

 

5.その他

・祭祀承継者の指定(墓守、仏具、家系図の維持管理など)

・生命保険金受取人の指定、及び変更

・遺言の取消

遺言の方式

ところで、法律(民法)の定める普通遺言の方式は3つあります。自筆証書遺言書・秘密証書遺言書・公正証書遺言です。法律に定められた形式でないと無効になり、せっかく作っても遺言の内容が実現されません。

このほかに、病気、船舶などで死亡が差し迫っているときや、伝染病などによる隔離者に適用される「特別遺言」があり、医師、証人、警察官などの立ち合いが必要など厳格な条件が定められています。詳細は省きます。

 

 自筆証書遺言書

 

すべて自筆で書き(ワ−プロなどはダメ)作成年月日、署名を手書きをしたうえ、印鑑を押します。訂正などは法律の定めた方法で行わなければ無効となります。お金はかかりませんが相続人の誰かが破いたり、隠したりすれば永遠に遺言は日の目を見なくなります。

 

同じものを3通ほど作り(すべて自書、自筆で。コピ−は一切不可)、封をしないで自宅、相続人以外の親戚の信頼できる人、友人に預けるなどすれば防げるとはと思いますが、面倒ですね。

 

また「検認」という家庭裁判所での遺言書の存在を確認してもらう手続きが必要で、相続人全員に遺言内容が公表されます。従って相続人以外の人に内緒で遺贈などを行おうとしても出来なくなり帰ってスム−ズな相続手続きが妨げられることがあるかもしれません。

 

なお検認は遺言があったということの証拠保全の目的で行われるものであって、遺言内容の有効、無効が判断されるものではありません。従って、遺言内容に無効、または遺留分侵害などの異議がある場合は、遺言無効確認訴訟や遺留分言冊請求訴訟を起こさなければなりません。

 

秘密証書遺言

 

自分で遺言書を作成(ワ−プロなどでも可)し、密封のうえ遺言書に押した印鑑で封緘し、証人2人と共に公証人役場に出向き、遺言書の存在を確認してもらいます。証人には遺言の存在は知られますが、内容は知られません。公証人は内容を見ていませんので、遺言内容が遺留分侵害など法律違反かどうかは判断できません。従ってせっかく作っても無効となることもあります。

 

自筆遺言と同様、家庭裁判所での検認手続が必要です。

 

 公正証書遺言

 

元裁判官や元検察官などの法律のプロである公証人の前で、証人2人を同席の上、遺言内容を口述(話)します。公証人はこれに基づいて遺言書を作成しますが、法律違反などについては指摘してくれますので、無効な内容となることはありません。

 

また遺言書は公証人役場に保管され、平成元年以後のものは検索により、遺言者名を指定すれば全国どこからでも遺言の有無を調べられます。従って自筆証書遺言のように隠されたり、破棄されたりされる恐れはありません。ただし費用がかかります。遺産額が1億円、相続人が配偶者1人の場合約6万円となります

 

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「相続させる」遺言

遺言で特定の財産、特に不動産を、特定の人、例えば長男やその妻に譲りたい時は、必ず「○○の不動産を△△に相続させる」と書くようおすすめします。これにより、△△さんは単独で、その不動産の所有権移転登記ができます。

 

もし「△△が相続する」「△△に遺贈する」との書き方だと,不動産登記を申請する際、他の相続人の印鑑証明書付きの承諾書が必要になり、相続人のうちに反対者があれば、△△さんが相続登記できないことも起こり、遺言を書いた意味がなくなることも考えられます。

 

「共有」の問題点

また遺言がないため、不動産の分割について相続人間の協議がまとまらず、相続人全員の共有となることも、実際の相続で多発しています。「共有」の場合、相続人たちが生存している間に分割できれば良いのですが、死亡後となると相続人の相続人である、子供、孫、兄弟、配偶者が多数発生します。

 

相続人の相続人の人数は増えるのが普通ですから、お互い味も知らぬ人も相続人となる可能性があり、より一層分割が困難になり、永遠にその不動産の行き先が決まらなくなります。にもかかわらず固定資産税だけを払い続ける、あるいは税負担をめぐるトラブルなどで、固定資産税滞納による競売などという事態も十分考えられます。

 

「法定相続分」と「遺留分」

 (遺産総額に対する割合です。子、父母等、兄弟では人数で等分します ) 

法定相続人 配偶者のみ  配偶者と子  配偶者と父母  配偶者と兄弟  父母のみ 

法定相続分 配偶者 1  配偶者1/2  配偶者2/3  配偶者 3/4  父母 1

             子  1/2  父母 1/3  兄弟姉妹1/4

遺留分   配偶者1/2  配偶者1/4  配偶者1/3  配偶者 1/2 父母1/6

              子  1/4  父母 1/6  兄弟姉妹 0 

なお認知された子は摘出子の1/2 半血子(前妻の子など)も両親を同じにする子の1/2です

 

不動産の特質

世界中に同じ不動産は一つしかありません。たとえば分譲地を考えてみても、面積が同じでも角地もあれば、片道路もあり、また公道、市道、道幅の広狭、面積の大小などでも価値が異なります。市街化区域、市街化調整区域、用途地域、高度地区などの建築物に対する公法制限、商店街の中、ゴミの集積場傍などの場所的要因、駅近、病院、学校、幼稚園近くなど地理的要因、人気のある団地、居住者層の所得水準、空家の多少などの需給要因で、その土地の価値に大きな差がつくこともあります。

 

ところで相続の対象となる遺産の50%弱(2011年末)が、自宅敷地を中心とした土地で占められています。平地が少なく人口が多い日本では、遺言をする人にとっても、相続する人にとっても土地に対する関心が強くなるのはやむを得ないことと言わなければなりません。

 

土地について、遺言をする人が考えておかなければならないことは

 

1 その土地の価格がいくらか。価格を無視した遺言をすると・・・・

 

  その不動産の遺産に占める割合が高い場合などには他の相続人の遺留分を侵害したり、小規模

  宅地(後述)の特例が受けられず、価格が高く評価され思わぬ相続税を支払うこととなる場

  合などが考えられます。さらには相続人間の不和を招き、将来に禍根を残す原因ともなりま 

  す。

 

  経済学は「一物一価」とひとつのものに複数の値段がつくことはないとしています。しかし、   

  日本では土地については、一物四価と言われています。

 

  地価公示価格・・・国土庁が1月1日現在の全国約3万箇所の土地価格を3月下旬に公表しま

           す。国土法の届出価格審査及び自治体の用地買収の目安とされています。

 

  都道府県基準地価格・・・都道府県知事が7月1日現在の土地価格を9月下旬に公表します。

           規模、目的は公示価格と類似しています。

 

  路線価格・・・・・国税庁が発表する贈与税、相続税の課税のための資産評価の基準として、

           主に国内の市街地の道路に価格をつけます。1月1日現在の価格を8月

           初旬に発表します。市街地以外では固定資産評価額に対し、定められた倍

           率で評価します

 

  土地固定資産評価額・・市町村が、都道府県知事の承認を得て発表します。

           固定資産税を賦課するための基準となるほか、相続登記などの不動産登記

           の登録免許税の算出の基準となります。3年ごとに評価替えが行われ、平

           成24年は評価替えが行われました。

 

  取引事例価格(時価)・・過去に取引された土地の価格を間口、奥行、崖地などの補正を行い

           対象地の価格を決定します。いわゆる相場地価です。

  不動産価格を考える

 

  これらの価格は、一応、時価に対して、公示価格・基準値価格は80%、路線価格は公示価格

  の80%、従って時価の64%、固定資産評価額は公示価格の70%、従って時価の56%と

  なります。

 

  ただし1989年の土地バブルや2006年のリ-マンショックなど経済の激変で必ずしもこ

  の通りになるとは限りません。その他、新駅開業やスカイツリ-などの大型施設の開業、 

  ごみ焼却場、高圧送電線、原子力廃棄物の貯蔵などの嫌悪施設の設置により変化します。 

   

  これらの価格の他に不動産鑑定士が会社や個人の依頼により、依頼目的に応じた「不動産鑑定

  鑑定価格を算出します。不動産鑑定士は上記の公的土地価格の算出にも大きく関与しています

 

  不動産鑑定士が土地の評価を行うにあたっては、その土地がどれだけの収益を生み出すかを計

  算し、価格を算出する収益還元法を中心に、原価法(積算法)、取引事例比較法を加味して、

  妥当な価格を決定します。たとえば住宅地であれば、アパ-トを建築した場合に家賃がいくら

  得られるかなど。 

 

  そして収益還元を行う場合の最も重要なのは、その土地の最適用途です。最適用途は単純には

  決められません。住宅地ならアパ-トといっても、周辺に乱立し、空家が目立つ地域では必ず

  しも最適とは言えません。

 

  定期借地を利用した有料老人ホ-ムや、保育所などが最適となる場合もあり、また一時的要因

  とはいえ、メガソーラー建設候補地やその隣接地となり無価値と思われていた原野に新たな価  

  値が生み出されるなど、政治情勢、社会情勢、周辺状況の変化で大きく変わる場合があります

 

  マンションについては「東京カンテイ」が取引事例を収集し、東京、中京、近畿圏の分譲中古

  マンションの専有面積1㎡あたりの平均的な価格を公表しています。また国土交通省でも管理

  状態についてその履歴をデ-タベ-ス化し、適正な価格形成の後押しをしています。

 

  住宅については、最近、長期優良住宅認定住宅が増えつつあり、リフォーム履歴のデ-タベー 

  ス化により、かってのような建築後経過年数で一律に評価せず、個別物件の妥当な価格形成

  のバックアップを行っています。

 

  なお国土交通省による「土地総合ライブラリ-」(webサイト)では、任意のアンケ-トを

  もとにした「不動産取引情報」で地積、用途、道路、取引価格などの物件情報を好評していま

  す。対象地の価格の一応の目安となると思われます。利用にあたっては、取引時期に注意して

  ください。   

              

  最後になんといっても土地が所在する地元の不動産業者に、取引状況、地価の動き、需要動向

  などを聞き取ることも有効と思います。

2 第二に相続税の改正動向です。場合によっては、思わぬ相続税が課されることも・・・

 

 

 平成25年税制が改正されました。改正内容は赤字で表示します。

  相続税、贈与税について大幅な改正がされました。注意すべき点は改正が実施される時期です。

 

  今回の相続税、贈与税の改正の目的は消費税増税に伴い、国民に増税に納得感を持ってもらうた  

 めに富裕層にも応分の負担を求め、あわせて、高齢者に偏っている資産を若年世代に移転させ、

 消費を促し経済の活性化を図ろうとするものです。

 

 まず基礎控除の減額です。

 定額控除 3,000万円 法定相続人比例控除 法定相続人一人当たり600万円

 計算式 3000万円+600万円×法定相続人数(相続放棄者を含む)

 2015年1月1日以降の相続、遺贈に適用されます。

 

  相続人が妻、子供2人の場合、現在は8000万円まで相続税はかかりませんが、改正により

  4800万円以上は課税されることになります。

 

  たとえば、さいたま市大宮区高鼻町2丁目で、敷地165㎡(50坪)、建築後10年程度の

  住宅を相続した場合、推定ですが、約4500万円前後になると考えられます。預貯金、株券

  等の金融資産、退職金、生命保険金などがあれば、現在は非課税でも、改正後は課税されるこ

  ととなる可能性が高いと考えられます。

 

  実は、昨年より、法律改正を伴わないで実質相続税が増税されています。それは先に一言した小

規模宅地の特例の適用対象相続にが大幅に減ったことです。

 

  小規模宅地の特例は、亡くなった方の住宅が、相続税支払いのために売らざるを得ないことが

  ないように、240㎡(72.6坪)まで住宅敷地の評価を、本来の評価より80%差し引 

  き、20%で評価するものです。

 

  住宅用地については330㎡(100坪)に拡大され、事業用宅地等の400㎡と合わせて

  最大730㎡(220.82坪)まで適用できます。2015年1月1日以降の相続、遺贈が

  対象です。 

 

  この特例の対象者が、2010年までは相続人すべてでしたが、昨年より亡くなった方と同居して 

  いた相続人および亡くなった方の配偶者がなく、亡くなった方と同居している親族もなく、か

  つ、その方が過去3年以内に自己または配偶者名義の住宅を所有していなっかた場合(家なき

  子)に限られる事となりました。先の例で言えば、改正により同居の妻の相続、または家なき 

  子分のみが小規模宅地評価となり、同居していない子供の相続した土地は減額されません。

 

  親子が共有する2世帯住宅について、以前は住宅内部で相互に行き来ができなければ、敷地に  

    ついて小規模宅地の適用が受けられませんでしたが、2013年政令改正により、行き来できなくても  

  建物が区分登記されていれば、敷地について面積按分して適用が受けられるようになりました

詳細は税務署、または税理士等にご確認ください。

 

  相続税の改正については、まだ試案の段階ですが、現在の法定相続分課税制度から取得者課税

  制度も検討されている模様です。これは現行制度では、支払う相続税は一定で、相続人の間で

  、相続した相続財産の額に応じて按分して相続税を支払う制度です。

 

  取得分課税制度になりますと、各相続人が取得した財産の評価額に従って、それぞれに課税さ  

  れることになり、税率にもよりますが、多くの財産を相続した相続人は高額の相続税の支払い

  いを、余儀なくされることtも考えられます。

 

  この考え方のもとにあるのは、相続という不労所得を少なくし、富の再配分を促そうとする社

  会政策的な配慮と税収増加です。少子高齢化の日本ではまさにうってつけの制度かもしれませ

  ん。

 

  このほか、次の主な改正事項があります。

  課税相続財産が6億円以上については55%が課税されます。2015何1月1日から。  

    

   被相続人が老人ホ-ムに入居した場合の空家となっている住宅敷地について、被相続人の介護

  が必要なためにホームに入所したこと、その家屋が賃貸されていないことを条件に小規模宅地

  の特例適用ができることとなります。2014年1月1日の相続、遺贈から適用されます。

 

   子供が未成年の場合、その子供にかかる相続税から20歳になるまで年10万円を差し引く

   ことができます。(未成年者控除額 10万円×(20歳-そのものの年齢))障害者も同額

  (障害者控除額 10万円(特別障害者は20万円)×(85歳−その者の年齢))

   2015年1月1日以降の相続遺贈に適用されます。

  (現在は各6万円です 特別障害者12万円です))

確実に資産を渡すには(生前贈与)・・・

  遺言をする目的はいろいろあると思いますが、指定した人に確実に資産をしたいとの思いから

  遺言される方も多いのでは・・。そのような方にうってつけの生前贈与という方法があります

 

  生前贈与は贈与者(資産をあげる人)と受贈者(資産を貰う人)との契約によって成立します

  契約という法律行為ですから、ともに意識(意思能力)がはっきりしていなければなりません

  そして書面(贈与契約書)となっていないと、贈与の事実の証明がむづかしく、またいつで

  も取り消されます。また不動産の登記や贈与税の申告には贈与契約書が必要です。

 

平成25年税制が改正されました。改正内容は赤字で表示します。

  相続税、贈与税について大幅な改正がされました注意すべき点は改正が実施される時期です。

 

 また不動産の売買契約書に貼る印紙税も2014年年1月1日以降2018年3月31日までに作成されたものについては、おおよそ1/2から2/3(契約金額により異なります)に減額されます

 

 外国居住、外国籍の相続人等が日本国内に住所を有する者から相続、若しくは遺贈、または贈与により取得した「国外財産」(海外の財産)が、新たにに相続税、贈与税の課税対象となります。

2013年4月1日以降に取得する相続、贈与に適用されます。

 

 今回の相続税、贈与税の改正の目的は消費税増税に伴い、国民に増税に納得感を持ってもらうた  

 めに富裕層にも応分の負担を求め、あわせて、高齢者に偏っている資産を若年世代に移転させ、

 消費を促し経済の活性化を図ろうとするものです。

 

  日本の金融資産は1400兆円と言われていますが、その大半が高齢者が保有しているとされ  

  、国は有効利用のために、世代間の資産移転を進めようと、贈与税をの特例を設けています。

  特例は二つあります。

 

 

  一つは65歳以上の親から20歳以上の子どもへ2500万円まで、贈与税なしで贈与できる

  相続時精算課税制度です。贈与できるものはお金でもいいし、土地でもいい。その他金の延

  でも構いません。2500万円を超えたら超えた分については20%の贈与税がかかります。

  両親からそれぞれ2500万円、合計5000万まで贈与税無税で贈与できます。

 

  贈与を受けられる対象に孫が追加されるとともに、贈与する人も60歳に引き下げになります  

  2015年1月1日の贈与から適用されます

 

  ただし、この制度は、相続の時に、もらった時の価格が相続財産にカウントされ、相続税が計

  算されることに注意が必要です。従って、今後値上がりが見込まれる資産を贈与したほうが相

  続税が少なくなり、逆に値下がりしそうなものは余分に相続税を支払うことになります。

 

  相続時精算課税制度を利用したときは、贈与した人からは、年110万円の特別控除が永久に

  受けられなくれることも要注意です。ついでながら110万円による贈与は、相続の時に相続

  財産にカウントされません。毎年100万円づつの贈与契約書を作ると、10年で1100万

  円、20年で2200万円となり、長期展望のもと計画的にすすめるのも一案ですね。

 

  もう一つは{曽)祖父母、両親から20歳以上の子供が住む住宅取得のための資金を贈与する

  住宅資金贈与制度です。こちらは現金に限ります。土地などは対象になりません。これも住宅

  産業への経済波及効果が大きく、家具、家電、インテリア、住宅ロ-ン利用などを通じて内需

  拡大を図ろうとする産業政策の要素もあります。

 

  贈与税非課税となる金額は、平成24年入居なら1500万円、25年入居なら1200万円

  、平成26年入居なら1000万円まで贈与税はかかりません。この制度は、相続時精算課税

  と異なり、相続財産にカウントされませんし、翌年以降は110万の贈与税の基礎控除も適用

  できますので、条件に該当しそうな方には有利な制度と思います。

 

  新たに教育資金の一括贈与した場合、一定の手続きにより一定額まで贈与税無税とする特例が          できました。2013年4月1日から2015年12月31日までの贈与が対象です。 

 

  贈与者は親または祖父母(直系尊属)、受贈者は30歳未満の子または孫です。受贈者が30     

  歳になったとき使い残しがあれば、使い残した金額に対して贈与税がかかりますので注意が必要で

また贈与を受けた子、孫が、30歳前に不幸にして死亡した場合は、使い残しがあっても贈与税は

かかりませんこの制度の仕組みは、贈与者が銀行で受贈者の名義で贈与する金額を一括して金銭信

託を行い、銀行は安全資産で運用します。受贈者から教育機関等の領収書などの証明書が提示され

ると払い出逆に言えばこれらの証明書がなければ払い出されません。

 

無税で贈与できるのは、1500万円までです。幼稚園、保育園、小中高校、大学専門学校などの

入学金、学費、や修学旅行など学校生活に必要と思われるものが対象です。学習塾やスポ-ツ教

室、音楽教室、などの学校外活動については500万円まで無税です。

 

  以上が新制度の概要です。

 

  この他、確実に資産を渡す方法として「遺贈」と、「後継ぎ遺贈型受益者連続信託」がありま

  す。

 

  詳細は割愛しますが、法定相続人以外に対する遺贈には相続税の20%が加算されます。

  また後継ぎ遺贈型受益者連続信託の場合、相続が発生するたび信託受益権に対して相続税が

  課税されます。

 

  この制度は被相続人が生前中に、資産の後継者、それも信託設定後30年以内であれば、後継 

  ぎ者死亡後は別の人を相続人と指定することができるものです。例えば第一受益者 妻、妻死

  亡後は長男に、長男死亡後は長男の長子にといった具合です。30年後は一名のみです。

 

   身体や精神に重度の障害のある人を、受益者とする「特定贈与信託」については、信託財産 

  6,000万円まで、贈与税が障害者の生活安定に配慮して非課税とされています。

 

 税率について、20歳以上のものが親、祖父母(直系尊属)から贈与を受けた場合は、それ以外 

 の場合に比べ贈与税が軽く(約1/3軽減)なります。2015年1月1日以降の贈与に適用さ

 れます 

 

 中小企業の後継者問題に対応した、非上場株式の贈与税の納税猶予制度の適用条件が緩和されま  した。たとえば

 納税猶予期間の5年間は平均で80%以上従業員雇用していれば足りる

 後継者は親族でなくとも良い

 代表を譲った人が、会社の有給役員でも構わない

 経済産業大臣の事前確認を不要とする

などです。詳細は、税務署税理士等のお問い合わせください。

2015年1月1日以降の相続贈与から適用されます。

孫への無税贈与で金銭教育

2013年税制改正の続き

NISA(ニ-サ 日本版ISA)

が2014年1月1日から導入されます

もともとイギリスで導入されたISA(Individual Saving Account 個人貯蓄口座)を、日本風にアレンジしたものです。2014年1月から株式等の譲渡益の税率が10%から20%にあがりますので、少額投資をお考えの方にとっては朗報です。

 

制度の内容は、2014年1月1日から2023年12月31日までの10年間で、5年間に限り個人が購入した、年間100万円までの株式、株式投資信託、ETF(上場投資信託)、リート(不動産投資信託)(以下金融商品といいます)などの配当、分配金、売却代金による所得に所得税がかかりません。

 購入する年のの1月1日で20歳以上の方が対象です。

 

なお6年目以降非課税枠が残っていれば、ロ−ルオ−バ−により引き続き、最長10年まで非課税の適用を受けることが出来ます。この場合も100万円の限度額を維持しなければならず、もし保有資産が100万円を超える評価額があれば、超過分は、課税口座に移さなければなりません。

 

ただし5年間総額500万円が上限で、年間100万円未満の投資であっても、差額は翌年に繰越できません。購入した金融商品は途中売却できますが、売却した分の穴埋めはできません。(100万円を買って30万円を売った時に、売却分の30万円を補てんできず、70万円分だけを運用することになります))また2014年1月以前に購入したものは対象とならず、新たに買わなければなりません。

 

購入先は銀行、証券会社等に限られ、最初に選んだ銀行、証券会社は2014年1月1日から2019年12月31日までは当初4年間はで変更できませんので、希望する投資商品をその金融機関が取り扱っているかどうか必ず確認してください。

 

この制度の適用を受けるためには、2013年10月から受付開始の「少額投資非課税口座」適用申請書を取引希望の金融機関に、住民票を添えて提出します。金融機関では申請書を税務署に提出し、確認を受けた後口座開設します。

 

銀行で購入できるこの制度の対象金融商品は、株式投資信託のみです。株式、ETF、リ−トも購入希望の場合は証券会社で申請する必要があります。

 

お子さんやお孫さんに、贈与税非課税限度の110万円を5年間贈与しますと、合計550万円を無税で贈与できます。贈与したい人が3人いれば合計1650万円相続財産を減らすことができ、しかも財産は確実に渡したい人の手に渡ることになります。

 

贈与する際の贈与契約書に、贈与分のうち100万円は日本版ISAに投資することを条件とし、投資しなければ、贈与を取り消すことを明記します(負担付贈与契約)。条件を付ける目的は、金銭教育です。

 

投資行動を行うことにより、社会の仕組みや、税金の使われ方、社会情勢への関心も強くなり、騙されない消費者、かしこい生き方を目指して、新聞や書籍、インタ−ネットで関連する事柄を、自発的に学ぶようになるのではないでしょうか。学校で学び得ない生きた勉強を体験することになります。

 

とりわけ企業年金制度が大きく変わり、受け取り年金額があらかじめ決まっている確定給付年金から、社員個人の年金資産の運用次第で、受け取り年金額が大きく変わる確定拠出型年金導入企業が増えています。社員個人も拠出できるマッチング拠出、さらには給与を分割し年金掛金を拠出できる、選択制の確定拠出年金導入企業も増えつつあります。

 

これらは自民党が掲げる、国民に求める自助の一環であり、企業にとっては経営上高いリスクのある、将来の年金積立不足を避けようとする動きは今後、更に強まっていくと思われます。

 

また今まではデフレで預貯金が目減りすることは、ほとんど考えなくても良かったのですが、日銀の物価上昇率2%が実現すると、その分、貨幣価値が下がり、預貯金が目減りする事態も視野に入ってきました。

会社任せ、国任せでは、ライフプランが描けなくなりつつあるだけに、自立した個人とならなければならず、自立する第一歩が経済的自立=金銭感覚の醸成と考えますが、いかがでしょう

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