「相続させる」遺言

遺言で特定の財産、特に不動産を、特定の人、例えば長男やその妻に譲りたい時は、必ず「○○の不動産を△△に相続させる」と書くようおすすめします。これにより、△△さんは単独で、その不動産の所有権移転登記ができます。

 

もし「△△が相続する」「△△に遺贈する」との書き方だと,不動産登記を申請する際、他の相続人の印鑑証明書付きの承諾書が必要になり、相続人のうちに反対者があれば、△△さんが相続登記できないことも起こり、遺言を書いた意味がなくなることも考えられます。

 

「共有」の問題点

また遺言がないため、不動産の分割について相続人間の協議がまとまらず、相続人全員の共有となることも、実際の相続で多発しています。「共有」の場合、相続人たちが生存している間に分割できれば良いのですが、死亡後となると相続人の相続人である、子供、孫、兄弟、配偶者が多数発生します。

 

相続人の相続人の人数は増えるのが普通ですから、お互い味も知らぬ人も相続人となる可能性があり、より一層分割が困難になり、永遠にその不動産の行き先が決まらなくなります。にもかかわらず固定資産税だけを払い続ける、あるいは税負担をめぐるトラブルなどで、固定資産税滞納による競売などという事態も十分考えられます。

 

「法定相続分」と「遺留分」

 (遺産総額に対する割合です。子、父母等、兄弟では人数で等分します ) 

法定相続人 配偶者のみ  配偶者と子  配偶者と父母  配偶者と兄弟  父母のみ 

法定相続分 配偶者 1  配偶者1/2  配偶者2/3  配偶者 3/4  父母 1

             子  1/2  父母 1/3  兄弟姉妹1/4

遺留分   配偶者1/2  配偶者1/4  配偶者1/3  配偶者 1/2 父母1/6

              子  1/4  父母 1/6  兄弟姉妹 0 

なお認知された子は摘出子の1/2 半血子(前妻の子など)も両親を同じにする子の1/2です

 

不動産の特質

世界中に同じ不動産は一つしかありません。たとえば分譲地を考えてみても、面積が同じでも角地もあれば、片道路もあり、また公道、市道、道幅の広狭、面積の大小などでも価値が異なります。市街化区域、市街化調整区域、用途地域、高度地区などの建築物に対する公法制限、商店街の中、ゴミの集積場傍などの場所的要因、駅近、病院、学校、幼稚園近くなど地理的要因、人気のある団地、居住者層の所得水準、空家の多少などの需給要因で、その土地の価値に大きな差がつくこともあります。

 

ところで相続の対象となる遺産の50%弱(2011年末)が、自宅敷地を中心とした土地で占められています。平地が少なく人口が多い日本では、遺言をする人にとっても、相続する人にとっても土地に対する関心が強くなるのはやむを得ないことと言わなければなりません。

 

土地について、遺言をする人が考えておかなければならないことは

 

1 その土地の価格がいくらか。価格を無視した遺言をすると・・・・

 

  その不動産の遺産に占める割合が高い場合などには他の相続人の遺留分を侵害したり、小規模

  宅地(後述)の特例が受けられず、価格が高く評価され思わぬ相続税を支払うこととなる場

  合などが考えられます。さらには相続人間の不和を招き、将来に禍根を残す原因ともなりま 

  す。

 

  経済学は「一物一価」とひとつのものに複数の値段がつくことはないとしています。しかし、   

  日本では土地については、一物四価と言われています。

 

  地価公示価格・・・国土庁が1月1日現在の全国約3万箇所の土地価格を3月下旬に公表しま

           す。国土法の届出価格審査及び自治体の用地買収の目安とされています。

 

  都道府県基準地価格・・・都道府県知事が7月1日現在の土地価格を9月下旬に公表します。

           規模、目的は公示価格と類似しています。

 

  路線価格・・・・・国税庁が発表する贈与税、相続税の課税のための資産評価の基準として、

           主に国内の市街地の道路に価格をつけます。1月1日現在の価格を8月

           初旬に発表します。市街地以外では固定資産評価額に対し、定められた倍

           率で評価します

 

  土地固定資産評価額・・市町村が、都道府県知事の承認を得て発表します。

           固定資産税を賦課するための基準となるほか、相続登記などの不動産登記

           の登録免許税の算出の基準となります。3年ごとに評価替えが行われ、平

           成24年は評価替えが行われました。

 

  取引事例価格(時価)・・過去に取引された土地の価格を間口、奥行、崖地などの補正を行い

           対象地の価格を決定します。いわゆる相場地価です。

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