遺言をすれば何でもできるのでしょうか

遺言をしても、法律上効果のあるもの(裁判所に訴えて、裁判をしてもらえるもの)と法律上効果のないものがあります。たとえば自分の死後、兄弟仲良くとか、お母さんを大切に)などは法律上の効果はありません。従ってその遺言内容の実現を裁判所に求めても裁判をしてもらえません。(法律上、無効となります)

とはいえ、人は一人で生きられず、とりわけ家族から有形、無形のの支援を受けて人生を過ごし切れたのですから、感謝の言葉を一言添えれば、無味乾燥な遺言も潤いのあるものとなり、スム−ズな遺言の実行にも役立つと思われます。

 

また遺産分割について、何故そうした遺言をしたのか。たとえば長女の結婚式に多額の費用がかかり、結婚後も生活費を補助したから、長女相続分(遺留分を除く)はないなど、遺言の背景を略述しておけば、遺言の解釈の助けになり、よりスム−ズな遺言執行が出来ることになると思われます。

 

欲を言えば、エンディングノ-トを作り(市販のものもあります)、自分の人生を思い返し、配偶者、子供との生活での印象に残ったこと、仕事への思い入れなどを残すことにより、今後の自分の人生への展望を開くとともに、遺言が希望通り実行されることに資すると思います。

 

せっかくの遺言も、相続人全員が、遺言と異なる分割に合意し、遺産分割協議書を作った時は、遺言は無効となり、実現されません。遺言者自身の遺志を実現したいのであれば、可能ならば、もう一歩踏み込み、相続人に遺言内容を明らかにし、了解を得ておくことで、究極のスム-ズな相続実現の決め手と言えると思います。

 

法律上効果のある遺言事項は次のものに限られています。これらの事項について、遺言に反する遺言執行が行われた場合、家庭裁判所に訴えて遺言内容の実現を求めることが出来ます。

(専門用語が入っていますが、一応目を通して下さい)

 

1.身分上の事項
・子の認知
・未成年者の後見人の指定
・後見監督人の指定

 

2.相続に関する事項
・推定相続人の廃除、排除の取消

  相続人の範囲は法定されており、指定はできません。配偶者、(祖)父母、兄弟以外の人に相続さ         せたい場合、包括遺贈により、遺産の一定割合を死後に渡すことができます。

・相続分の指定、及び指定の委託

・特別受益の持ち戻し(結婚費用、高等教育費用など多額の過去の援助を遺産に加えること) の免除

 

・遺産分割の方法の指定、及び指定の委託

・遺産分割の禁止(5年以内)

・遺産分割された財産について相続人同士で担保責任を負わせること

・遺贈の減殺の順序、及び割合の指定

 

3.遺産処分に関する事項

・遺贈

・財団法人設立のための寄附行為

・信託の指定

 

4.遺言執行に関する事項

・遺言執行者の指定、及び指定の委託

・遺言執行者の職務内容の指定

 

5.その他

・祭祀承継者の指定(墓守、仏具、家系図の維持管理など)

・生命保険金受取人の指定、及び変更

・遺言の取消

遺言の方式

ところで、法律(民法)の定める普通遺言の方式は3つあります。自筆証書遺言書・秘密証書遺言書・公正証書遺言です。法律に定められた形式でないと無効になり、せっかく作っても遺言の内容が実現されません。

このほかに、病気、船舶などで死亡が差し迫っているときや、伝染病などによる隔離者に適用される「特別遺言」があり、医師、証人、警察官などの立ち合いが必要など厳格な条件が定められています。詳細は省きます。

 

 自筆証書遺言書

 

すべて自筆で書き(ワ−プロなどはダメ)作成年月日、署名を手書きをしたうえ、印鑑を押します。訂正などは法律の定めた方法で行わなければ無効となります。お金はかかりませんが相続人の誰かが破いたり、隠したりすれば永遠に遺言は日の目を見なくなります。

 

同じものを3通ほど作り(すべて自書、自筆で。コピ−は一切不可)、封をしないで自宅、相続人以外の親戚の信頼できる人、友人に預けるなどすれば防げるとはと思いますが、面倒ですね。

 

また「検認」という家庭裁判所での遺言書の存在を確認してもらう手続きが必要で、相続人全員に遺言内容が公表されます。従って相続人以外の人に内緒で遺贈などを行おうとしても出来なくなり帰ってスム−ズな相続手続きが妨げられることがあるかもしれません。

 

なお検認は遺言があったということの証拠保全の目的で行われるものであって、遺言内容の有効、無効が判断されるものではありません。従って、遺言内容に無効、または遺留分侵害などの異議がある場合は、遺言無効確認訴訟や遺留分言冊請求訴訟を起こさなければなりません。

 

秘密証書遺言

 

自分で遺言書を作成(ワ−プロなどでも可)し、密封のうえ遺言書に押した印鑑で封緘し、証人2人と共に公証人役場に出向き、遺言書の存在を確認してもらいます。証人には遺言の存在は知られますが、内容は知られません。公証人は内容を見ていませんので、遺言内容が遺留分侵害など法律違反かどうかは判断できません。従ってせっかく作っても無効となることもあります。

 

自筆遺言と同様、家庭裁判所での検認手続が必要です。

 

 公正証書遺言

 

元裁判官や元検察官などの法律のプロである公証人の前で、証人2人を同席の上、遺言内容を口述(話)します。公証人はこれに基づいて遺言書を作成しますが、法律違反などについては指摘してくれますので、無効な内容となることはありません。

 

また遺言書は公証人役場に保管され、平成元年以後のものは検索により、遺言者名を指定すれば全国どこからでも遺言の有無を調べられます。従って自筆証書遺言のように隠されたり、破棄されたりされる恐れはありません。ただし費用がかかります。遺産額が1億円、相続人が配偶者1人の場合約6万円となります

 

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